幸福を
その人は明らかに周りの人に迷惑をかけていた。
というか、かけている。
相手を侮辱し、相手が逆上するのを楽しんでいるかのようだった。
でもそれは現実の世界で周りに相手にされていないということの裏返しのように感ぜられた。
「日本人としてのカンが無いんじゃないの?」と私に対して言ってきた。
そんなこと、日本人である私は考えたことがない。
自ずとその人が日本人とそうでない自分との間で揺れ動いていることが手に取るようにわかった。
「言ってはいけないことを、最もいいたいときに言わないのが大人」か。その通りだ。
「魂までは傷つけはならない。」その通りだ。
差別的なことを言って傷つけてやりたいと思った自分を恥じた。
そして、言わなくてよかったと改めて思った。
ま、だからといって相手と関係を持ちたいとは思わないけれども、相手の幸福を密やかに願った。